Facebook、「Messenger」に手数料無料の送金機能を追加

Facebook、「Messenger」に手数料無料の送金機能を追加という記事がでています。 BitCoinをめぐる法的な問題を研究したときに、米国においての各州法などで、電子的送金に関しての規定の問題があることを検討しました。

こちらの記事によると、デビットカードのアカウントを利用しているようです。

(追加します)

米国法で関連する法としては、連邦の電子送金法(Electronic Fund Transfer Act (EFTA))、クレジットカード説明責任・責任開示法2009、各州の資金サービスに関する法律、銀行秘密法などがあります。

連邦の電子送金法に関しては、これを具体化した連邦規則E(Regulation E)が適用になります。連邦規則E[1]は、ATMでの送金電話請求書による支払い、POS端末での資金移転、事前のアカウントでの認証による支払いなどにおける利用者の権利・責任についての基本的な枠組を定めており、電子送金という用語は、電子端末、電話機、コンピュータ、磁気テープなどによって金融機関に対して、クレジットもしくはデビットの指示によって開始する取引をいいます。

この規定によれば、金融機関は、利用者に対して初期の開示(定期的な請求内容の開示、利用の注意、解決方法の開示)、誤請求に対する解決方法の開示、無権限利用からの責任の限定の開示などを負います。この取引については、アクセス機器による場合もあるし、それによらない場合も可能です。この場合、アクセス機器による場合においては、無権限利用に対しては、責任が限定されますが、その一方で、アクセス機器によらない場合には、そのレベルでの責任限定のメリットはえられません。

また、ギフトカード、価値保存、ショッピングモールカード、オープンループ・プリベイドカード、インセンティブ・報奨・販促の仮想通貨などについては、クレジットカード説明責任・責任開示法2009(Credit Card Accountability, Responsibility Disclosure Act of 2009 (CARD Act))が適用される(同法401条)。同法は、手数料、有効期間に制限を課しており、また、開示が強制されている(同法201条以下)。

また、各州の資金サービスに関する法律については、統一資金サービス法(Uniform Money Services Act (UMSA)以下、UMSAという))が参考になります。資金サービスに関する法律は、資金送金に関する組織の健全性と安全性を確保し、資金を送金する消費者を保護しようというものです。資金サービス業(money services businesses (“MSBs”))という概念でもって、種々の事業を総括して、資金洗浄等の予防のために一定の対応を図る枠組みを提供するのが、UMSAの目的です。

資金サービス業は、送金業、決済方法販売、両替商などを含む広汎な概念である。これらは、金融機関ではないという特徴を有しており、消費者に対して、消費者金融サービス、旅行業などの広汎な分野においてワンストップサービスを提供しているといえます。これらの組織は、資金洗浄に対して脆弱なものということができ、その一方で、経営的な基盤は、他の業務によっている。このような組織に対しての規制の枠組みを提供しています。

金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN、以下、FinCENという)は、その「銀行秘密法の改正規則-プリペイド・アクセスに関する定義およびその他の規則」[2](Financial Crimes Enforcement Network; Amendment to the Bank Secrecy Act Regulations – Definitions and Other Regulations Relating to Prepaid Access、(プリイド・アクセスルール))において、前払いがなされた資金ないしは、ファンド価値については、FinCEN に対して、MSBとして登録しなければならないと定めています。プリイド・アクセスというのは、前払いしていた資金に対して、将来、電子的機器等をもちいて利用もしくは移転させるべくアクセスすることになります。これは、銀行秘密法の規定(反資金洗浄のためのプログラムの実施)をプリイド・アクセスの提供者および販売者に拡張するものです。もっとも、これについては、利用場所が限定された場合の一日の上限2000ドル/制限なしの上限1000ドルの場合の例外等があります。

また、国際送金については、別途の規則(New International Remittance Rules)があります。これは、2013年1月から効力を有しているものであって、外国のアカウントに対する送金に対して適用されるものです($15未満は、例外)。これは、送金前の開示および、受領者を開示しなければならないとするものです。

[1] http://www.federalreserve.gov/bankinforeg/regecg.htmを参考にした。

[2] http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2011-07-29/pdf/2011-19116.pdf

制定理由等については、http://www.fincen.gov/statutes_regs/frn/pdf/Prepaid%20Access%20NPRM.pdf

 

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国境をまたぐ取引については、米国には、これを制限する規定(New International Remittance Rules)が存在します。今後、どのようにして国境をまたぐ少額送金を可能にするのかという論点がでてくるものと思われます。 なお、わが国では、LinPayがアカウント間での送金を資金決済法との関係をクリアすることで実現しています。これも細かくみていくといろいろと問題は考えうるかもしれませんし、また、特に国境をまたぐ取引との関係は、今後の課題ですね。

IoTの法律問題

IoTは、今年のテーマとしてバズるのは、間違いないでしょうね。

ただ、具体的には、個別の話(飛行機、自動車、ドローン、スマホ、医療ロボットとか)でないと、議論しにくいところもあります。

その一方で、一般的な理論展開という観点からみていくと、Thing自体の問題(安全性とかね)、Thingの自律性の問題(ロボットってそういうものだし)、Thingと外界との関係(データ保護や他市場の乱用)当たりにわけられるのかと思います。

Medical × Security Hackathon 2015での「医療ロボット」もそういった切り口で話してみました。いかがだったでしょうか。

プライバシの値段

「プライバシー保護は別料金で – AT&Tが低額な光ファイバーサービスを提供」という記事が出ています。

プライバシが、他の契約条件とも比較考慮されるトレードオフの対象であることは、いうまでもありません。IPAの報告書岡田先生との論文は、その点をテーマにしています。

むしろ、契約(これならば、インターネット接続サービス)に付随する条件ということができるので、従たる条件として、通常は議論されないのに、プライバシの選択として独立にされているだけで、プライバシの重要性を示していると見ることができます。

あとは、この料金の設定の妥当性(そして、これは、その市場における競争によって是正される)、あと、デフォルト値をどうするのか(センシティブに対しては、オプトインにするべき)ということについての議論がなされることになるでしょう。それで、調整が図られることになるかと思います。

Contextといったときに、市場の競争状態までが影響するということが上の例でも見えてくるかと思います。するとプライバシ侵害感を緩和するのに、競争を活発にするのが有効という理屈になってきます。プライバシというのが、きちんと定義されていない証拠かもしれません。